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後遺障害等級

後遺障害等級認定の異議申立とは

交通事故の被害者が後遺障害の等級認定のための申請をしたところ、等級認定が認められなかった、または、認定された等級が予想していたものよりも低い場合などは、その後の損害賠償請求においても、満足いく結果にならないことも考えられ […]

交通事故の被害者が後遺障害の等級認定のための申請をしたところ、等級認定が認められなかった、または、認定された等級が予想していたものよりも低い場合などは、その後の損害賠償請求においても、満足いく結果にならないことも考えられます。そのため、等級認定を行った損害保険料率算定機構に対して、異議申立てという手段を講じることによって、等級認定の結果を変更するよう求めることができます。

まず、後遺障害の等級認定を加害者の任意保険会社を通じて行う事前認定によって行っていた場合は、任意保険会社に対して異議申立書を提出します。この場合、異議申立からは自分で調査事務所とやり取りをしたければ、被害者請求に切り替えることもできます。

他方、自賠責保険会社に対して等級認定を請求する被害者請求の場合は、自賠責保険会社に対して異議申立書を提出します。なお、いずれの方法をとったとしても最終的な異議申立てに対する審理は、損害保険料率算定機構によって成されます。

また、異議申立ての回数制限はなく、何度でも行うことができます。しかし、何度も行えると言っても、説得的な異議申立て理由を提示できなければ認定を変更してもらうことはできないことに注意が必要です。

提出する異議申立書には、すでになされた等級認定の誤りを指摘する内容が記載されることとなります。この場合、単に自ら被った後遺障害は大きく、認定された結果では満足がいかないといった主観的な内容ではなく、医学的な根拠や証拠に基づいて、自らの後遺障害は客観的にみてより重度の等級に当たるとの指摘を行っていくことになります。

そのため、被害者が後遺障害をどのように認識しているかといった自覚症状だけでなく、セカンドオピニオンを利用した他の医師による診断書といった、専門的かつ多角的な証拠を揃えることが重要です。

異議申立書を提出してから、審理の結果が出されるまでの期間は、事案によって様々です。1ヶ月程度で結果が出ることもあれば、半年程度かかることもあります。また、異議申立てを行ったとしても、損害賠償請求権の時効は中断されません。そのため、損害を知った日から3年が経過すると、時効により加害者に対して損害賠償請求ができなくなると考えると、実質的には何度も異議申立ては行えないこととなります。

異議申立てを利用する場合は、審理の途中に損害賠償請求権が時効になってしまわないかよく計算した上で利用することが望ましいと言えます。

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