症状固定とは?

交通事故によって負った怪我のうち、症状固定後に残った症状が、後遺障害として等級認定の対象になります。

そのため、症状固定というのは被害者にとって重要な概念と言えます。

まず、交通事故が発生した場合、事故直後が最も怪我の症状が重い段階となります。その後、治療を続けることによって、時間の経過ととともに症状は少しずつ改善していきます。しかし、本来であれば治療を続けることによって、最終的には完治にまで至るべきところ、ある一程度の症状を残したまま、どれだけ治療を継続しても症状が改善しない状態に達することがあります。

このように、治療を継続しても残ってしまう症状が存在する場合、その症状は今後も固定されたものであるとして、症状固定と表現します。

このように症状固定になると、原則として治療をする必要がなくなりますので、治療が終了となります。そして、症状固定になると、その時点で損害額が確定します。 そのため、症状固定は発生する損害賠償の内容を切り替えるターニングポイントとして機能することとなります。

症状固定までになされた治療費や入院費、休業損害については傷害に対する賠償として計算されます。一方、症状固定後に残った症状については、逸失利益や後遺障害慰謝料として計算されることとなります。

この症状固定については医学的な見地に基づく判断を要するため、症状固定となったかどうかの判断については医者が第一次的には行っていくこととなります。

もっとも、継続して発生する毎月の治療費にしびれを切らして、加害者保険会社から一方的に症状固定にするよう宣告されることも少なくありません。しかし、これは保険会社が治療費を支払わない、という意味であって、「治療をしてはいけない」という意味ではありません。治療が必要であれば、治療を続け、後日、その治療費も加害者に請求していくことになります。

 

交通事故の脊髄損傷について

交通事故による傷害のうち、脊髄損傷と呼ばれるものがあります。交通事故に伴う身体障害は多々ありますが、その中でも重度な後遺障害をもたらすことで知られています。特に重篤な後遺障害となりますので、取り上げて考察いたします。

まず、脊髄損傷とは脊柱に強い衝撃が加わる結果、脊髄が損傷してしまうことを言います。脊髄は身体の中でも重要な中枢神経であることから、損傷することによって自律神経や運動神経などに障害が発生します。

脊髄といった中枢神経は、末梢神経と違って再生しにくいことから、一旦損傷すると、その後の生活に大きな支障をもたらします。

脊髄損傷による症状には、完全麻痺または不全麻痺に分けられることとなります。

まず、完全麻痺は脊髄が横断的に切断されてしまうために、脳からの運動命令が末端に届かず、運動神経の大部分が失われることとなります。例えば、上下半身麻痺、左右半身麻痺などが挙げられます。また、同じように感覚神経の伝達も途切れてしまうため、断裂部分以下の身体については感覚知覚機能が失われることとなります。

一方、不全麻痺は脊髄が損傷、圧迫などを受けている結果、身体機能の一部を失うことを言います。不全麻痺は完全麻痺に比べて脊髄の損傷度合いが低いため、発生する後遺障害の程度が比較的軽微になります。

脊髄損傷は、その多くにおいて後遺障害として残ってしまうことが多いです。そのため、交通事故によって脊髄損傷を受けてしまった被害者は、症状固定後に後遺障害の等級認定の申請をすることが必要となります。

脊髄損傷に伴う等級認定については、比較的重度の認定がなされることが多いです。特に、完全麻痺の場合であれば寝たきりになってしまい、1級が認定され、将来介護が必要となってしまうこともあります

麻痺の程度が重ければ重いほど、後遺障害等級も重いものとなり、損害賠償額が多額になっていきます。

被害者にとっては、受けた損害に見合うだけの損害賠償を受けることは重要な問題となるため、脊髄損傷のような重度の怪我を負った場合の対応は、適切に行うことが必要となります。

また、脊髄損傷の場合には、損害賠償額が多額になりますので、弁護士に依頼して処理をしてもらった方がよいでしょう。

後遺障害等級認定の異議申立とは

交通事故の被害者が後遺障害の等級認定のための申請をしたところ、等級認定が認められなかった、または、認定された等級が予想していたものよりも低い場合などは、その後の損害賠償請求においても、満足いく結果にならないことも考えられます。そのため、等級認定を行った損害保険料率算定機構に対して、異議申立てという手段を講じることによって、等級認定の結果を変更するよう求めることができます。

まず、後遺障害の等級認定を加害者の任意保険会社を通じて行う事前認定によって行っていた場合は、任意保険会社に対して異議申立書を提出します。この場合、異議申立からは自分で調査事務所とやり取りをしたければ、被害者請求に切り替えることもできます。

他方、自賠責保険会社に対して等級認定を請求する被害者請求の場合は、自賠責保険会社に対して異議申立書を提出します。なお、いずれの方法をとったとしても最終的な異議申立てに対する審理は、損害保険料率算定機構によって成されます。

また、異議申立ての回数制限はなく、何度でも行うことができます。しかし、何度も行えると言っても、説得的な異議申立て理由を提示できなければ認定を変更してもらうことはできないことに注意が必要です。

提出する異議申立書には、すでになされた等級認定の誤りを指摘する内容が記載されることとなります。この場合、単に自ら被った後遺障害は大きく、認定された結果では満足がいかないといった主観的な内容ではなく、医学的な根拠や証拠に基づいて、自らの後遺障害は客観的にみてより重度の等級に当たるとの指摘を行っていくことになります。

そのため、被害者が後遺障害をどのように認識しているかといった自覚症状だけでなく、セカンドオピニオンを利用した他の医師による診断書といった、専門的かつ多角的な証拠を揃えることが重要です。

異議申立書を提出してから、審理の結果が出されるまでの期間は、事案によって様々です。1ヶ月程度で結果が出ることもあれば、半年程度かかることもあります。また、異議申立てを行ったとしても、損害賠償請求権の時効は中断されません。そのため、損害を知った日から3年が経過すると、時効により加害者に対して損害賠償請求ができなくなると考えると、実質的には何度も異議申立ては行えないこととなります。

異議申立てを利用する場合は、審理の途中に損害賠償請求権が時効になってしまわないかよく計算した上で利用することが望ましいと言えます。

後遺障害等級認定とは?

自賠責後遺障害等級について認定を受けるための方法として、事前認定と被害者請求という二つの方法があります。

まず、事前認定とは、交通事故加害者が加入している任意保険会社が、後遺障害等級認定の申請に必要な資料を収集し、被害者の代わりに手続きを進めることを言います。この場合、任意保険会社が被害者に代わって全ての認定手続きを行うため、被害者としては負担がなく簡単に等級認定を受けることができる点で魅力があります。

もっとも、認定手続きを行う任意保険会社は被害者に損害賠償金を支払う立場にあるため、等級認定の結果が被害者に有利となるよう積極的に働くということは、期待できません。そのため、認定手続きに提出する資料も、必要最小限にとどめられる可能性もあり、被害者にとって希望通りの結果が得られないことがあり得ます。

次に、被害者請求とは、被害者自ら加害者の自賠責保険に対して、後遺障害の等級認定を申請することを言います。この場合、被害者自ら働きかける分、認定手続きに必要な資料の収集や作成はすべて被害者が行うこととなります。

もっとも、被害者としては自分で資料を収集することができる分、適正な認定を行ってもらえるよう説得的な資料を収集することができ、手間がかかるものの、事前認定に比べて納得がいくまで等級認定に関わっていくことができるのが魅力と言えます。

等級認定は、事前認定と被害者請求のいずれの方法をとるにしても、審理は損害保険料率算定機構が行うこととなります。そして、この損害保険料率算定機構の等級認定作業は、日々大量的に行われるため、提出された資料によってのみなされることとなります。これを書面主義といいます。

この書面主義のもとでは、資料に書かれていることのみが調査の対象となるため、書面に書かれていなければ、被害者がどんなに主張しても、その主張は認められないこととなります。また、書面に書かれている内容が説得的でなければ、等級を認定するにあたっての積極事情にはなりません。そのため、等級認定を申請するためにどのような資料が作成されるかは、被害者にとっては極めて重大な問題と言えます。

そのため、任意保険会社に資料を作成してもらう事前認定はもちろん、自ら作成する被害者請求の場合でも、交通事故に詳しい弁護士などに相談して、資料の作成を依頼することが、大切でしょう。

後遺障害の等級とは?

自賠責後遺障害の等級とは、交通事故によって発生した後遺障害の程度を等級で表すものであり、損害保険料率算定機構が認定するものです。

この後遺障害の等級は、被害者が交通事故によって受けた損害を客観的に表す指標であり、この等級認定がされることによって、加害者に対する損害賠償の請求がスムーズに進みます。一方、等級認定が得られない場合は、被害者が自ら自己の損害が後遺障害に当たることを証明して、その損害賠償を加害者に請求することになるため、大変な労力と時間を要します。

そのため、後遺障害の等級認定を受けることは、被害者にとって極めて重要なこととなります。

後遺障害の等級は重い順に1級から14級まであり、交通事故に伴う損害の賠償基準となるものです。

この後遺障害等級とは別に、障害年金の申請をすることもできます。

被害者が厚生年金に加入している場合は、認定された等級が1級から3級の場合は、障害厚生年金を受給することができます。また、3級以下の場合であっても、障害手当金を受け取ることができます。

次に、被害者が国民年金に加入している場合は、認定された等級が1級か2級の場合であれば、障害基礎年金を受給することができます。

このような年金の受給以外にも、認定された等級が1級から7級の場合は、身体障害者手帳を交付してもらうことができます。これにより、被害者は多くの公共機関利用の場面において、免除や割引を受けることができます。

後遺症が残ってしまった場合、どうすべきか?

交通事故を経験した結果、身体に完治することのない障害、すなわち後遺症を負ってしまった場合、被害者としては将来のことも含めて極めて不安な心持ちとなることが多いです。しかし、後遺症が残ってしまった後にすべきことを知っていれば、被害者が抱く不安をある程度和らげることができます。

まず、後遺症の程度によっては後遺症が理由となって現在の職業を辞めなければならないことも考えられます。その場合には、交通事故によって将来の収入を得られなくなるわけですから、生活面で発生する損害を加害者に賠償請求することが考えられます。

後遺症による将来の損害を賠償してもらうためには、自賠責保険の「後遺障害等級」を認定してもらうための申請をすることになります。この結果認定された等級によって、損害賠償の額は変化することとなります。

そのため、後遺症が身体に残った被害者としては、損害賠償をもらう前提として、後遺障害等級認定の申請をすることになります。

また、交通事故に遭遇したのが就労時間内であるなど、業務関連性がある場合は、労災保険給付を受けられる可能性があります。そのため、勤務先に相談し、労災保険を受けるための手続きを進めることが考えられます。労災の方でも後遺障害等級が認定されると、それに応じて障害補償給付などが受けられる場合がありますので、確認が必要です。

また、身体障害者手帳を申請することも考えられます。身体障害者手帳を持つことによって各種公共施設や公共交通機関の利用において免除や割引を受けられるほか、税金の免除割引も受けることができます。

身体に残った後遺症が重度な場合は、障害者年金を受け取ることもできます。この障害者年金は後遺症を負って日々の生活が困難になった人の助成が目的のため、加害者から受け取る損害賠償金とは別に、給付されます。もっとも、この障害者年金は厚生年金や国民年金に加入していることが前提となるため、申請の際は自身が国民年金に加入しているかどうかについて正しく確認する必要があります。

このように、交通事故によって身体に後遺症が残ったとしても、その後の生活を支えるための各種方法が考えられるため、これらを実践することによって後遺症がもたらす生活の負担を軽減することができます。