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交通事故示談と慰謝料

過失割合と過失相殺について

交通事故は、加害者の過失により事故が発生するものですが、中には、被害者も事故発生に寄与したケースがあります。このような場合には、事故の責任をすべて加害者に負わせるのは公平に反するため、交通事故が発生したことに対する被害者と加害者の過失割合を認定し、被害者が寄与した過失分について、加害者の損害賠償責任を減少させることがあります。これを過失相殺と言います。

 まず、過失相殺がなされるには、被害者と加害者との間における過失割合について認定がなされる必要があります。
 例えば、被害者が歩行者で、加害者が四輪車の場合、四輪車の運転手がよそ見運転をしていたところ、歩行者赤信号を無視して歩道を渡った歩行者と衝突したような事故について、四輪車の運転手が加害者であるとしても、赤信号を無視したという過失が歩行者にもあるため、過失割合は被害者と加害者で7対3というように表現されることがあります。
 この過失割合は、最終的には裁判所が、過去の交通事故裁判例を参照にしながら決定します。ここで決定された過失割合に基づいて、加害者から被害者に対する損害賠償について過失相殺が適用されることとなります。

 過失相殺の場面になると、保険会社は過失割合を参照しながら損害賠償額の減少の交渉をしてきます。
 上記のケースだと、過失割合は被害者と加害者で7対3です。仮に損害賠償額の総額が100万円だとすると、被害者が寄与した過失割合の7割を差し引き、損害賠償額は30万円と決定することになります。

 もし、保険会社の決定した過失割合や過失相殺に不満がある場合は、被害者は訴訟を通じて損害賠償請求を行うこともできます。もっとも、この場合も過失割合と過失相殺の認定はなされる可能性があります。この場合は、保険会社の決定には拘束されず、裁判所が独自の見地の下、過失割合の認定や、過失相殺をするかどうかについて決定することとなります。

 過失割合も過失相殺も、被害者と加害者の間における公平を保つためのものです。そのため、被害者は交通事故に対する過失の程度によっては、想定していたよりも損害賠償額が少なくなる可能性があるということを心に留めておく必要があります。