弁護士に依頼する際に注意すべきポイントは?

一般の人が弁護士に何かを依頼するということは、なかなか頻繁に経験するものではありません。そのため、弁護士の選び方一つで、交通事故の被害者が加害者に請求できる損害賠償金の金額が変わってくることも考えられます。

被害者が満足した結果を得るために、必要な交通事故に詳しい弁護士の選び方のポイントについて説明します。

まず、第一に、弁護士が交通事故に関する紛争の経験があるかどうかが問題となります。弁護士の扱う業務は法律問題全般と極めて広く、中には会社の法律問題を専門としていたり、離婚関係の問題を専門としているなど、弁護士一人一人で特色が異なることが多いです。そのため、その中で特に交通事故を専門にしている弁護士に相談することが重要です。

それまでに多くの交通事故関連の事件を経験していることから、被害者の直面している問題について、早い段階から展望を示してくれることも多く、その後の計画を作成する上で大きな利点となります。

次に、真摯に対応してくれる弁護士であるかが重要にあります。弁護士にも色々います。中には、利益を追求する結果、あまり報酬が得られないような案件については、雑にこなしたり、そもそも受任すらしないといったことも考えられます。

このような対応を取られると、被害者としては弁護士全般に対する不信感を大きく募らせてしまうことにつながりかねません。そのため、自分が相談する弁護士が、真摯に対応してくれるかどうかについてよく検討する必要があります。

最近では、最初の1時間は法律相談無料といったことをしている弁護士も多いので、その1時間の相談の中で抱いた印象をもとに、この弁護士に依頼するのが望ましいかについて判断するのが良いと思われます。

弁護士も一人一人に個性があり、どの弁護士を選ぶかによって結果が大きく変わってくることも少なくはありません。また、被害者にとって交通事故というのが人生の中でも大きな問題となっていることが多いことからしても、弁護士の選択については極めて慎重になる必要があります。

自分の重要な問題を委ねる相手だからこそ、よく吟味した上で判断することが求められると言えます。

損害賠償額を決める3つの基準について

交通事故における慰謝料を損害賠償には、3つの基準があります。それは、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つです。このうち、弁護士基準が支払い基準としては最も高く、自賠責保険が最も低いものとなります。任意保険基準は両者の中間にあるとされています。

まず、自賠責保険基準が最も低額です。これは、自賠責保険が、被害者の最低限度の補償を目的としているためです。自賠責保険は必要最小限度の保証しかしないため、傷害部分については、補償限度額が120万円とされており、また、物損については適用されず、あくまで人損に対してのみ適用されます。

次に、任意保険基準ですが、これは、任意保険基準は各保険会社によって異なるため、画一的な基準はありませんが、基本的に自賠責保険よりも高い基準とされています。

最も高額になるのが、弁護士基準です。この弁護士基準は日弁連交通事故相談センターの発行する赤い本によって定められており、他二つの基準に比べて高い基準となっています。弁護士基準で損害賠償請求をする場合は、保険会社がなかなか認めてくれない場合があり、その時は裁判によらなければならず、弁護士に依頼する必要もあるため、時間や費用が別途発生します。そのあたりを総合的に考えて、示談で済ますか、裁判まで行うか、を検討するようにしましょう。

身内が交通死亡事故にあってしまった場合

交通事故によって、家族が死亡してしまった場合、残された被害者遺族は加害者に対して損害賠償を請求していくことになります。もっとも、死亡事故における慰謝料の計算は、交通事故で怪我をした場合とは異なってきます。そのため、予めどのように慰謝料が計算されるのかについて検討しておく必要があります。

まず、慰謝料の内訳として、被害者本人固有のものと被害者遺族固有のものとに分けられます。

そのうち、被害者本人固有の慰謝料とは、死亡してしまった被害者本人が、加害者に対して有する損害賠償請求権のことを言います。

もっとも、死亡してしまった本人から直接損害賠償を請求することはできないため、被害者本人の地位を相続した相続人によって請求されることとなります。この場合の損害賠償額は、被害者本人が家族の中で占める地位によって変動します。例えば、死亡した被害者本人が家族の生計を支える大黒柱であった場合は、損害賠償額は高額に計算されますが、結婚をしていない独身であるような場合は、前者に比べて損害賠償額は低下するとされています。

次に、被害者遺族は、被害者本人が死亡することによって強い精神的な苦痛を受けることから、この苦痛に対する賠償として、損害賠償を請求することができます。もっとも、被害者遺族固有の慰謝料は、死亡した被害者本人の慰謝料によってかなり低額なものとされており、被害者遺族と死亡した被害者本人の相続人が共通する場合は、相続人が請求する被害者本人固有の慰謝料の中に、被害者遺族固有の慰謝料を含めて計算することもあります。

何れにしても、被害者遺族としては、身内が交通事故で死亡することによって大きな生計的、精神的な損害を被ります。そのため、その損害に対する適切な賠償を求めていく必要があります。

症状固定とは?

交通事故によって負った怪我のうち、症状固定後に残った症状が、後遺障害として等級認定の対象になります。

そのため、症状固定というのは被害者にとって重要な概念と言えます。

まず、交通事故が発生した場合、事故直後が最も怪我の症状が重い段階となります。その後、治療を続けることによって、時間の経過ととともに症状は少しずつ改善していきます。しかし、本来であれば治療を続けることによって、最終的には完治にまで至るべきところ、ある一程度の症状を残したまま、どれだけ治療を継続しても症状が改善しない状態に達することがあります。

このように、治療を継続しても残ってしまう症状が存在する場合、その症状は今後も固定されたものであるとして、症状固定と表現します。

このように症状固定になると、原則として治療をする必要がなくなりますので、治療が終了となります。そして、症状固定になると、その時点で損害額が確定します。 そのため、症状固定は発生する損害賠償の内容を切り替えるターニングポイントとして機能することとなります。

症状固定までになされた治療費や入院費、休業損害については傷害に対する賠償として計算されます。一方、症状固定後に残った症状については、逸失利益や後遺障害慰謝料として計算されることとなります。

この症状固定については医学的な見地に基づく判断を要するため、症状固定となったかどうかの判断については医者が第一次的には行っていくこととなります。

もっとも、継続して発生する毎月の治療費にしびれを切らして、加害者保険会社から一方的に症状固定にするよう宣告されることも少なくありません。しかし、これは保険会社が治療費を支払わない、という意味であって、「治療をしてはいけない」という意味ではありません。治療が必要であれば、治療を続け、後日、その治療費も加害者に請求していくことになります。

 

示談交渉を開始するタイミングは?

交通事故に伴う損害賠償のための示談においては、加害者としてはなるべく早く、安い金額で交渉したいと考えます。他方、被害者としてはなるべく高い金額での交渉を望みます。

このように、加害者と被害者で利害が異なる場合、示談交渉を開始するに適切なタイミングはいつなのでしょうか。

まず、示談交渉を開始するタイミングの一つに、被害者の症状固定時が挙げられます。

通常、示談で支払われる損害賠償の内訳には、治療費、入院費、休業損害などが含まれますが、症状固定前の早期段階で示談を開始してしまうと、症状固定後に示談交渉を始めれば獲得できたであろう、損害についての賠償額を受けられなくなってしまいます。

そのため、症状固定が生じうるほどの重傷を被害者が負ったような場合は、被害者は症状固定後に示談交渉を開始すると明言し、それ以前に示談交渉を行う気がないことを相手に伝えることが望ましいと言えます。

何れにしても、結論を急がず、冷静に示談交渉のタイミングを計ることが重要です。被害者としては、自らに発生した損害の全貌が明らかになっていない状態から示談交渉に応じてしまうと、後から確認できた損害について賠償が受けられないという点で不利益を被ります。

そのため、まずは発生した損害をある程度確認できてから、示談交渉に向けた働きかけを行うべきと言えます。

示談と裁判の違い

交通事故の損害賠償の解決の仕方としては、示談によるものと裁判によるものの2種類が考えられます。この二つについて違いを適切に把握することは、被害者自身がいざ損害賠償請求をする際の助けになります。

まず、示談とは、交通事故当事者同士の話し合いの結果、お互いが納得する内容で合意をすることを言います。

交通事故が発生した場合、被害者としてはどれくらいの金額を支払ってほしいか、加害者としてはどれほどの金額であれば支払えるかという双方の利害が発生します。この双方の利害を調整して、お互いが納得できる損害賠償額について合意をすれば、示談は成立します。

もっとも、単に示談を行っただけでは単なる口約束に過ぎません。そのため、示談が成立した場合は、その示談内容について記載した示談書を作成する必要があります。これにより、明確な拘束が当事者の間に生まれることとなります。

示談は、当事者の話し合いで成立するため迅速に損害賠償額を定めることができることが多く、裁判に比べて簡単なため、時間と手間の節約をすることができます。しかし、示談はあくまで契約的な拘束しか生まないため、示談内容に従った義務を加害者が履行しない場合は、裁判を通じて損害賠償を請求する必要があります。

加害者に任意保険会社がある場合は、示談が成立すれば、通常一ヶ月程度で支払ってくれます。

次に、裁判は裁判所という公的機関を通じて損害賠償を請求するものとなります。

裁判を通じて損害賠償を行うためには、基本的には弁護士に依頼して行う必要があるため、弁護士費用という支出が発生します。また、裁判は交通事故当事者で争いがある場合は長期化する可能性もあり、場合によっては年単位で継続する可能性もあります。

もっとも、損害賠償を勝ち取った場合は、たとえ加害者が支払いを拒否したとしても強制執行により強制的に損害賠償金を回収することができます。加害者に任意保険がある場合には、判決が出たら、その金額を任意に支払ってくれます。そのため、一旦勝訴すれば、加害者に損害賠償に応じられるだけの資力さえあれば支払いをさせることができるという点で、示談の場合より確実性があります。

加害者と被害者が真っ向から争っている場合は、示談の成立可能性が低いため、早々に裁判へ進めるべきとも言えます。他方、当事者同士の間で交渉余地があるのであれば、示談による早期解決を目指すことも、時間や損害賠償金などを総合した上での被害者の利益を考えると、有効な手段とも言えます。

示談する際に注意すべきポイントは?

交通事故の被害者としては、不用意に示談に応じた結果、損害賠償をあまり請求できなかったとなると、その後の治療負担などの面で大きな苦労を背負うこととなります。

そのため、示談をするに際し注意すべきポイントを適切に把握することが重要です。

まず、注意すべきポイントの一つ目として、発生した損害が明らかになっていない段階から示談に応じないということです。

被害者にとっても、早期に示談がまとまることは有益なことですが、発生した損害が明らかになっていない段階で示談をしてしまうと、その後に生じた後遺障害やその他損害について、本来もらえるはずの賠償を受けることができなくなります。そのため、一般的には、被害者が示談交渉を開始するのは治療終了後、後遺症が残る場合は症状固定後とされています。

次に、示談書を必ず作成することが必要です。もし、示談書が作成されず、口約束のみの示談があったにすぎない場合、被害者は加害者が示談内容に沿った損害賠償金を支払わない場合に、その支払いを求める請求に苦労することとなります。

示談による損害賠償金を被害者が加害者に請求するには、示談がなされたという事実を被害者が証明しなければなりません。しかし、口約束の示談しかなされていないような場合は、たとえ本当に示談がなされたとしても、その証明は極めて困難となってしまいます。

そのため、こういった場合に示談があったことを客観的に証明できるよう、示談書という形で示談内容を保存することが必要となります。

また、示談による損害賠償金が支払われない場合、被害者は裁判を利用して加害者に対して請求をすることとなります。しかし裁判を利用するとなると時間と手間がかかるため、被害者にとって大きな負担となります。

このような場合に、示談書をあらかじめ公正証書化しておけば、被害者は裁判によることなく、強制的に加害者から損害賠償金を得ることができます。そのため、示談書作成の際に余裕があれば、このように公正証書として示談書を残しておくことが好ましいと言えます。

但し、相手が保険会社の場合には、公正証書の作成はしてくれませんので、公正証書化するのは、加害者本人や仕事中の事故の場合は加害者の使用者、加害車両の所有者などとの示談の場合です。

交通事故解決までの流れ

交通事故は、多くの手続きが絡む困難な問題であるため、大まかな流れを知っておくことは実際に交通事故に直面した場合迅速な対応を取ることができます。

まず、交通事故直後の対応としては、真っ先に警察への通報と、保険会社への連絡を欠かさないようにしましょう。特に、警察に連絡して実況見分をしてもらうことは、その後に事故証明書を受け取るために重要な手続きであるため、素早く行うことが必要です。

また、余裕があれば自分自身で事故現場の状況を撮影して保存したり、周囲の目撃者の連絡先をもらい、後々証人として証言してもらうことの協力を頂きましょう。

交通事故からある程度経過すると、相手方の保険会社から連絡が入り、示談についての話し合いが始まります。

この場合、被害者としては安易に示談に応じようとはせず、発生した損害について丁寧に整理した上で交渉するのが必要です。例えば、発生した損害のうち治療費、入院費、休業損害の計算については納得のいくまで交渉しましょう。また、後遺症が残りそうな場合は、症状固定前に示談に応じず、症状固定後、後遺障害等級認定を受けてから応じるようにしましょう。

弁護士を利用して慰謝料を請求する場合は、弁護士費用が発生する上、もし裁判にまでなった場合は、時間と労力も相当程度必要となるため、被害者の負担は増します。もっとも、その分、弁護士基準での慰謝料算定は高額になるため、結果的には弁護士に依頼した方が高額の慰謝料を勝ち取れる可能性があります。

また、裁判とならない場合であっても、示談交渉を交通事故紛争の経験がある弁護士に依頼することによって、スムーズな交渉を進められることも多いため、弁護士を利用することは広くメリットのあることだと捉えておいて問題がないといえます。

交通事故被害者としては、迅速に高額な慰謝料を勝ち取ることが目的となるところ、その目的を実現するには、交通事故の解決までの流れを俯瞰的に捉えることが必要です。そして、もし交通事故が発生した場合の対応についてある程度イメージを持っておくことで、その目的が最大限達成されることとなります。

交通事故慰謝料の時効

交通事故慰謝料のような、損害賠償請求権はいつでも行使できるわけではなく、定められた期間内に行使しなければ消滅時効が成立して権利が消滅してしまうこととなります。

そのため、交通事故被害者は加害者に対する慰謝料請求が遅くなった場合、時効期間が経過することによって、請求が認められなくなる可能性があることを考慮する必要があります。

まず、交通事故の慰謝料は、法的には不法行為にあたるため、時効が成立するまでの期間は、被害者が損害および加害者を知ってから3年となります。

この規定によると、交通事故直後に被害者と加害者が連絡先を交換したような場合は、交通事故当日から3年が経過すれば時効が完成します。一方、ひき逃げによって加害者が半年ほど明らかにならなかった場合は、加害者が明らかになった時点から3年を経過することによって時効が完成します。但し、後遺症が残った場合には、症状が固定してはじめて損害額が明らかになるので、症状固定日から3年となります。

交通事故の場合、慰謝料請求するために必要な資料、証拠が多く、短期間で集めることができないこともあります。

そのため、請求しないまま消滅時効期間が経過してしまいそうになる場合があります。この場合に、時効が経過しないようにするための救済として、時効の中断があります。この時効の中断を利用すれば、計算されていた時効がリセットされ、また0から計算されることとなります。

この時効の中断として認められる行為の一つとして、訴訟提起がまず挙げられます。そのため、時効の経過が間近に迫った被害者としては、時効の中断のために訴訟を提起するといったことも考えられます。

なお、被害者が症状固定後に行う等級認定は、結果が通知されるまで相当期間を必要とする場合がありますが、等級認定のための申請は時効の中断として認められていません。そのため、等級認定の申請を行う被害者は、申請中に時効が経過しないよう注意する必要があります。

交通事故慰謝料の算出方法は?

交通事故によって被害を受けた場合、被害者は慰謝料を請求することができます。しかし、請求できるのは、慰謝料だけではありません。損害賠償の内容としては、慰謝料の他にもたくさんあります。また、どれほどの額の慰謝料がもらえるのかについては、一律に定められているわけではなく、詳細な個別事情を踏まえた計算によって算出する必要があります。

最初に、交通事故慰謝料を請求するにあたっては、被害者自身にどれほどの損害が発生しているのかについて把握する必要があります。

発生した交通事故が、乗用車同士の衝突などの場合は、物損が生じます。そのため、破損した乗用車の修理費用、または全損の場合は買い替え費用が発生します。

次に、交通事故によって被害者自身に怪我などが生じた場合、人損が認められます。この場合は、怪我の程度によって、治療費、入院費、医療雑費、休業損害、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料が発生することとなります。

交通事故の損害賠償の算定基準は3種類あると言われています。自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類です。

まず、強制加入である自賠責保険があります。もっとも、自賠責保険の支払限度額は傷害部分で120万円であるため、それを超える損害については、加害者が任意保険に加入している場合は任意保険に請求しなければなりません。また、保険会社の提示した賠償金額に納得がいかないような場合は弁護士基準の下、訴訟で損害賠償請求を行う場合もあります。

このうち、基本となる自賠責保険基準には、損害に対する支払い基準が詳細に設定されており、治療費は実費、入院費用は原則1日4100円、休業損害は原則1日5700円とされています。

一方、任意保険基準は個々の保険会社が独自に定める基準によって計算され、その支払い基準は公開されていません。そのため、加害者が加入している保険会社によって支払い基準が異なりますが、一般的には自賠責保険よりやや高いとされています。

自賠責保険は最小限度の保証、任意保険は営利性の加味された独自保証となるため、被害者にとっては納得のいかない金額となる場合もあります。この場合は弁護士基準によって請求することも考えられます。もっとも、この場合、訴訟によらなければならないため、手元に慰謝料が入るのが遅くなる可能性が高いとされています。

交通事故の慰謝料は、どのような損害が生じたのか、いかなる基準を用いるのかによって算定方法が大きく変化します。そのため、被害者は自己の損害状況を適切に把握し、かつ慰謝料が手に入るまでどれだけ待てるか、どれほどの額を希望するかによって、適切な支払い基準の選択をしていく必要があります。